【不動産】相続土地国庫帰属制度を利用した実務経験|司法書士が解説

2025年04月15日 18時00分 不動産

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司法書士・行政書士の佐藤正和です。

1. 相続土地国庫帰属制度で境界確認に苦労した実務経験
相続土地国庫帰属制度について過去のブログで触れました(「国が相続土地を引き取る」)。
こちらの制度を利用したいというご依頼を受けて書類を作成したときの経験に触れたいと思います。

2. 境界を巡る悩みと対応策
(1)境界の要件

相続土地国庫帰属制度では、国に引き取ってもらううえで要件がいくつか設けられています。
そのうち「境界が明らかでない土地その他の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」は申請できない、とされています。

相続土地国庫帰属制度の承認申請では、境界を明らかにするため、杭などによって境界を示すことが求められます。

そこで境界を調べるために対象土地を訪ねたところ、杭などがなく境界は明らかではありませんでした。
ご依頼者自身、対象土地を訪ねたことすらなく境界は把握されていないとのこと。
しかも法務局で地積測量図は保管されておらず、用意できたのは土地の謄本(全部事項証明書)と地図だけでした。謄本には、過去に国土調査が実施されたことが記録されていました。

(2)私が採った対応
・法務省のパンフレット
境界が分からずどうしようかと調べていると、法務省作成の相続土地国庫帰属制度のパンフレットに
自分で土地の所在や境界が分からない場合などには、申請に先立って、土地の筆界に関する専門的知識を有する土地家屋調査士に相談することも考えられます
という記載を見つけました。

・法務局とのやりとり
たしかに土地家屋調査士にお願いするのが間違いないと考えましたが、作業の費用が発生します。
土地家屋調査士に依頼する以外の良い方法について法務局に相談すると、法務局からは、厳密な筆界確定を求める趣旨ではなく「申請者が認識している境界を示せばよい」との説明を受けました。

・土地家屋調査士に依頼
ただ、ご依頼者自身も境界を正確には把握されていませんでした。
結局、境界を示す作業(杭打ちなど)の費用が別途かかる旨をご依頼者に伝え了承していただいたうえで土地家屋調査士に作業をお願いしました。

(3)土地家屋調査士との連携と調査の結果
土地家屋調査士の先生が作成した図面を拝見しました。
その図面では、私の予想と異なるラインが境界とされていました。
こちらの図面をご依頼者に見ていただき、了解を得たうえで、ご依頼者が認識している境界として相続土地国庫帰属制度の申請書を作成して法務局に提出しました。

(4)私がしたこと
このように振り返ると、境界についてよく動いたのは土地家屋調査士だと思われるかもしれません。
たしかにそうなのですが、私も対象土地を何度か訪ね、伸びている草を刈り取って土地家屋調査士が設置した杭の位置を確認したり土地の写真を撮影したりしました。杭の位置が分かる写真を法務局に提出する必要があったからです。

相続土地国庫帰属制度の申請書類を法務局に提出した後、書類で示した境界について隣地所有者から異議が出されたので、異議がない箇所にハンマーでプラスチックの杭を打ち直したりもしました。
雨の日に長靴を履き、傘を差して作業をしたこともあります。

不慣れな作業でしたので、丁寧さを意識してひとつひとつ確実に作業を進めました。
この経験を通じて、現地確認の大切さや、土地家屋調査士との連携の重要性を改めて実感しました。


(5)留意点
上記の案件とは異なる経験では、相続土地国庫帰属制度の承認申請後、管轄法務局から「問題点連絡メモ」というタイトルの書面が書類作成者の私あてに送られてきました。
書面の内容は、指摘した問題点についてどう対応するか検討を求めるものでした。
「2か月程度先の〇月末日までを目途に対応してください」という主旨も記載されていました。そのため、計画を立てて対応する必要があると考えました。

この「対応」とは具体的に何を意味するか、理解しておくべきです。
まず「問題点を除去する」という対応があります。
しかし、期限内に問題点を除去できる見込みがない場合もあります。法務局から、承認申請の取下げという選択肢もあると説明されることがありますので、取下げを検討するケースもあります(※1)。

3. 今後に向けて
司法書士の業務はデスクワーク中心ですが、相続土地国庫帰属制度に関する業務については書類作成だけではありません。
「土地を相続したが不要なので国に引き取って欲しい」というお悩みは今後もなくならないと考えます。そのようなお悩みの解消に貢献できるよう、今後も制度の運用や実務経験を積み重ね、ご相談者のお役に立てるよう努めてまいります。

※1 もし相続土地国庫帰属制度の承認申請を取り下げない場合、却下又は不承認という行政処分がなされる可能性があります。その処分に不服のときは、申請者は①審査請求(行政不服審査法)や②取消訴訟(行政事件訴訟法)という対応をとります。

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国が相続土地を引き取る

(公開日:2025年4月15日/最終更新日:2026年7月20日)

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