【不動産】国が相続土地を引き取る

2022年09月29日 19時00分 不動産

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 広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!

 司法書士の佐藤正和です。


1、相続土地国庫帰属法施行令
 相続登記を経験した方の中には、要らない土地も相続して、それを持て余している方もおられるのではないでしょうか?

 以前、そのような方に役立つと思い、ブログを書きました(ブログ「土地は放棄できる?」)。
 そのブログを執筆した時点では法律の内容が十分には具体化されていませんでした。
 しかし、法務省が、9月29日、ルールを具体化する「相続土地国庫帰属法施行令」の案内をホームページで公開しました。

 基本を確認しておくと、相続土地国庫帰属法は要らなくなった土地を国が引き取るという内容の法律です。
 この手続きについて、土地の所有者のかたが知りたい情報は2つあると思います。

 ・国はどんな土地を引き取ってくれる?
 ・引き取ってもらうのにお金はいくらかかる?
 
 以下、順に見ていきます。

2、国はどんな土地を引き取ってくれる?
 分かりやすさ優先でかなりおおざっぱにまとめると、このたびの法律では、「国はこういう土地を引き取りません。その土地は次の通りです」というかたちで引取り不可の土地を定めています。
 どんな土地がダメかというと、

 ①建物の存する土地

 ②担保権又は使用及び収益を目的とする権利(賃借権など)が設定されている土地

 ③墓地、境内地、現に通路・水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている土地

 ④汚染された土地

 ⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

 ⑥勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上の崖がある土地のうち、通常の管理に当たり過分の費用等を要するもの

 ⑦土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物が地上に存する土地

 ⑧除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

 ⑨隣接地所有者等によって通行が現に妨害されている土地

 ⑩所有権に基づく使用収益が妨害されている土地、など

 もらってもあまりうれしくない土地のオンパレードです。

3、引き取ってもらうのにお金はいくらかかる?
 原則として20万円です。土地の巡回などの管理にかかる費用に充てるために支払いを求められる金銭です。
 ただし、以下の通り、一定の例外があります。

 ①宅地:面積にかかわらず20万円。ただし、市街化区域などの一部の市街地の宅地については、面積に応じて算定されます。

 ②田畑:面積にかかわらず20万円。ただし、市街化区域などの一部の市街地の田畑、農用地区域などの田畑については、面積に応じて算定されます。

 ③森林:面積に応じて算定されます。一律20万円ではありません。

 ④雑種地や原野など:面積に関わらず、一律20万円。

 「20万円も払わなければならないなら、毎年請求される固定資産税の支払いを我慢して所有し続けておこうか」という声が聞こえてきそうです。固定資産税が課されていない土地については、なおさら放っておこうかという気持ちになりそうです。
 しかし、次の世代に負担とならないようにと考え、いっそのこと土地を手放そうと思う方もおられるでしょう。
 この法令の施行日は令和5年4月27日の予定です。
 「あの土地はどうなんだろう」と思われる方は、司法書士にお問い合わせください。


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