広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
土地の相続登記のご相談があり、名義人が誰かを確認するためにその土地の登記情報を取りました。
登記記録(登記簿)の表題部には「所有者 住所 山田太郎(仮称)」と記録されており、そこを見れば所有者が誰か分かります。
しかし、たまに住所が記録されていない土地があります。
住所が記録されていないと、どのような問題が起こるでしょうか。
世の中に同姓同名の人がいるのは珍しいことではありません。
たとえば、曽祖父が亡くなった後に祖父が曽祖父と同じ名に改めたため(襲名)、親類の中に同姓同名の者がいるということもありました。
そのため、「所有者 山田太郎」のように住所が記録されていない土地では、どの「山田太郎」を指すのか容易には分からないという問題が起こります。
どうしたものか考えたり調べたりしたところ、雑誌の登記研究870号188頁に有益な情報を見つけました。
それによると、表題部所有者の住所が記録されていない土地などの「表題部所有者不明土地に近隣する土地又は建物の旧土地台帳、閉鎖登記簿などを確認する方法がある」とのこと。
①相続登記をしたい土地(A土地)が表題部所有者不明土地の場合、その近隣の土地等(B土地)の旧土地台帳等にも同姓同名「山田太郎」が出てくれば、A土地の「山田太郎」とB土地の「山田太郎」は同一人物の可能性があります。
さらに、②A土地とB土地両方が記載された「固定資産課税台帳の写し」が入手できれば、同一人物の可能性はもっと高まるという主旨のことも書かれています。
その知識にしたがってご依頼の土地について検討しました。
相続登記をしたい土地は複数ありました。
①名義人はみんな同姓同名で、土地同士が隣り合っているものもありました。なので、どの土地の表題部所有者も同一人物の可能性があります。
さらに、②同じ「固定資産課税台帳の写し」に記載されている土地もあり、その台帳に記載されている他の土地の登記情報を見ると、同姓同名の人の住所も記録されているものがありました。その住所は被相続人の本籍と一致しており、そのため、この表題部所有者不明土地の表題部所有者は被相続人と同一人物と判断して良いと考えました。
一方で、同じ「固定資産課税台帳の写し」に記載されていない土地もありました。この場合、同一人物かもしれませんが、別人物かもしれません。
ここまで考えたうえで、後は法務局に相談しました。
法務局からの回答は「司法書士の同一人保証書を作ってください」とのこと。
同一人保証書というのは、司法書士が「戸籍に出てくるこの人は、登記名義人と同一人物に間違いありません」と保証した書面です。
というわけで、集めた旧土地台帳、「固定資産課税台帳の写し」、同一人保証書を添付して登記を申請したところ、何事もなく登記は完了しました。
終わってしまえばどうでもないことですが、備忘録として残しておきます。
ややこしい登記でもご相談にいらしてください。
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