広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
1. 私の経験
相続土地国庫帰属制度について過去のブログで触れました(「国が相続土地を引き取る」)。
こちらの制度を利用したいというご依頼を受けて書類を作成したときの経験に触れたいと思います。
2. 境界を巡る悩みと対応策
(1)境界の要件
国が引き取ってもらうにはいくつかの要件が設けられています。
そのうち「境界が明らかでない土地その他の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」は申請不可、というルールがあります。
申請書類には、申請者が杭を打つなどして境界を明らかにしなければいけません。
そこで境界を調べるために対象土地を訪ねたところ、境界は一見して明らかではありませんでした。
ご依頼者自身、対象土地を訪ねたことすらなく境界は把握されていないとのこと。
しかも法務局で地積測量図は保管されておらず、用意できたのは土地の謄本(全部事項証明書)と地図だけでした。謄本には、過去に国土調査が実施されたことが記録されていました。
(2)私が採った対応
・法務省のパンフレット
境界が分からずどうしようかと調べていると、法務省作成のパンフレットに
「自分で土地の所在や境界が分からない場合などには、申請に先立って、土地の筆界に関する専門的知識を有する土地家屋調査士に相談することも考えられます」
という記載を見つけました。
・法務局とのやりとり
たしかに土地家屋調査士さんにお願いするのが間違いないと考えましたが、作業の費用が発生します。
調査士さんに頼らずにできることがないかと思い法務局の担当課に相談すると「境界は『だいたいこのあたり』というところで良い」と回答していただきました。
・調査士さんへの依頼
ただ、「だいたいこのあたり」というのでさえ司法書士(佐藤)には分からないわけです。
結局、境界を示す作業(杭打ちなど)の費用が別途かかる旨をご依頼者に伝え了承していただいたうえで調査士さんに作業をお願いしました。
(3)調査士さんとの連携と調査の結果
調査士さんに作成していただいた図面を拝見しました。
その図面では私が思っていたところとは違うラインが境界とされていました。
こちらの図面をご依頼者に見ていただき、ご依頼者が認識している境界として申請書を作成して法務局に提出しました。
(4)私がしたこと
このように振り返ると、境界についてよく動いたのは調査士さんだと思われるかもしれません。
たしかにそうなのですが、私は私で対象土地を何度か訪ね、伸びている草を刈り取って調査士さんが打たれた杭の位置を確認したり土地の写真を撮影したりしました。杭の位置が分かる写真を法務局に提出する必要があったからです。
書類を法務局に提出した後、書類で示した境界について隣地所有者から異議が出されたので、異議がない箇所にハンマーでプラスチックの杭を打ち直したりもしました。
雨が降る日に長靴履いて傘さしてという格好で作業をしたこともあります。
不慣れな作業でしたので、丁寧さを意識してひとつひとつ確実に作業を進めました。
この経験を通じて少しの苦労が後々の成果に繋がることを学べました。
3. 今後に向けて
司法書士といえばデスクワークのイメージが強いですが、相続土地国庫帰属に関する業務については書類作成ばかりではありません。
「土地を相続したが不要なので国に引きとって欲しい」というお悩みは今後もなくならないと考えます。そのようなお悩みの解消に貢献できるよう自己研鑽に励むとともに、どのような業務でも前向きに取り組んで参ります。
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