「合併で消えてしまった銀行の抵当権を消したいのですが、どういう登記手続が必要ですか?」
1、合併で消滅した銀行の抵当権抹消
たとえば、A銀行がB銀行に合併されて消滅したとします。
そして、合併前にA銀行の抵当権が設定されていたとしましょう。
この場合、ローンを払い終わったため抵当権の登記を抹消したい場合、どのような手続きが必要でしょうか。
2、抵当権移転登記
注意すべきことは、たんに「抵当権抹消登記」だけを法務局に申請すれば良いというものではないということです。
まずは、A銀行からB銀行に抵当権が合併により承継されたことになるので、「抵当権移転登記」をする必要があります。登記の流れとしては、抵当権移転登記→抵当権抹消登記、という2つを申請することになるわけです。
この「抵当権移転登記」に必要な書類は以下の通りです。
①A銀行がB銀行に合併されたことを証明できる情報
②B銀行の委任状
なお、①については、合併の事実が書いてある書類なら何でも良いというわけではありません。
しかし、インターネット上で取得できる「登記情報」に合併の事実が記録されているときは、①を法務局に提出する必要はありません。
法務局の登記官の立場に立つと、そのような書類の提出を求めて内容を調査するまでもなく、コンピューターで管理している「登記記録」を閲覧すれば、合併で権利が承継された事実を確認できるからです。
ただ、登記記録がコンピューターで管理されるより前の古い時代に合併しているときは、コンピューター上の「登記記録」を見ても合併の事実は読み取れません。
このときは、法務局に「会社の閉鎖事項証明書」という、コンピューター化される前の古い銀行の謄本で、合併の事実が記載されているものを法務局で取得しなければいけません。
なお、この「閉鎖事項証明書」は、合併で消滅してしまう銀行ではなく、生き残る銀行のものが必要です。
「会社の閉鎖事項証明書も法務局で保管されているんだから、局内で調べて分かるものとして添付は不要ではないか?」と思われるかもしれません。
しかし、そのような取扱いは認められていません。いちいち局内で調べていられるかということでしょうか(私の想像です。)。
ともかく、存続する銀行の閉鎖事項証明書の添付が求められます。
3、存続するB銀行が合併前に抵当権を設定していた場合の手続き
この場合は、合併の前後を問わず、一貫してB銀行が抵当権を持っていることに変わりはありません。
そのため、上記の2のような「抵当権移転登記」という手続きをする必要はありません。登記手続としては「抵当権抹消登記」の申請だけで足ります。
ただし、合併に伴って商号を「B銀行」から「C銀行」に変更している場合、別の注意が必要です。
すなわち、「B銀行」から「C銀行」に商号を変えた事実を証明できる公的書類を法務局に提出する必要があります。
もちろん、その事実がコンピューター上の「登記記録」から読み取れるなら、そのような書類を提出する必要はありません。
やはり、法務局の中でその記録を調べて商号変更の事実を知ることができるからです。
しかし、コンピューターで管理されている「登記記録」に商号変更の事実が記録されていないときは、商号変更が記載されている「閉鎖事項証明書」を添付する必要があります。
広島県福山市駅家町大字万能倉734番地4-2-A
佐藤正和司法書士・行政書士事務所
TEL084-994-0454
お問い合わせはこちら