「タカハシさんのタカは高かな、髙かなぁ?」
1、漢字の細かな違い
司法書士の仕事は、細かくて地味な作業の積み重ねです。
そのためだと思いますが、司法書士を仕事にしている人は、物事の細かなところにも目が行き届いてるように思います。
司法書士の仕事をし始める前は、漢字の作りにはそれほど注意していませんでした。
ところが、今の仕事で戸籍を調べていると、「本当はこの漢字を使うんだ」と思う経験が何度もあります。
たとえば、よく見かける「高橋」さんという苗字です。
司法書士になる前は、「高」のように、部首の「なべぶた」の下は「口」なのが一般的だと思っていました。
しかし、司法書士になって戸籍を見ると、「髙」という「はしご」になっている漢字ばかりです。
戸籍で「はしご」の「髙」を使っているのに、登記の申請書に「高」と書いて法務局に申請したら、どうなるでしょうか?「戸籍の漢字と違う」と言って、書類を作り直すよう指摘されるでしょうか?
答え。そのような指摘はされません。戸籍と異なる「高」の漢字で、登記が出来上がってしまいます。
つまり、戸籍に書かれた漢字とは微妙に異なる漢字で、名前が登記されてしまうわけです。
こうなると、「髙」の漢字を含む依頼者さんの中には「漢字が違う!」と気にされる方も当然おられます。
そういう事態にならないように、一字一字が正確かどうか神経を集中させてチェックをします。
2、「佐藤」の「藤」はどうか?
「藤」という漢字にも、似た漢字がいろいろあります。
「藤」の部首は「くさかんむり」ですが、その真ん中が途切れて「十 十」という部首になっているものもあります。
また、左下の「月」の部分について言うと、三番目と四番目の画順で普通は横線を書きます。しかし、横線でなく「、」(点)が2つ縦に並べて打たれている漢字を、戸籍で見たこともあります。
他にも、「藤」とは微妙に違う漢字がいろいろあるので、司法書士にとっては要注意です。
3、最後に
なんでこんな地味なテーマをブログ記事に選んだかというと、漢字のチェックをしている作業中、学習塾に勤めていたときの思い出が蘇ってきたからです。
学習塾では私と同じ「佐藤」くんという数学の先生がおり、雑談しているときに、彼が「俺は『藤』の右下の※みたいなところを、大学生のときまで『水』って書いてましたわぁ」と大真面目に言ったのです。
それを聞いて、私は「『水』なわけないだろう」と思ったものです。
しかし、司法書士になって奥が深い漢字の世界の広がりを知るに及んで、もしかすると「水の佐藤」もあるのではないか、そんな気がして調べてみたところ、やはり、そのような俗字はありませんでした。
ただ、いろいろな漢字があるものだと意識して、文字の精査を心掛けたいものです。
広島県福山市駅家町大字万能倉734番地4-2-A
佐藤正和司法書士・行政書士事務所
TEL 084-994-0454
お問い合わせはこちら