【相続Q&A】相続登記に期限はある?

2021年09月15日 08時00分 相続・遺言

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 「相続登記は、いつまでにする必要がありますか?」

1、相続登記に期限はある?
 2024年(令和6年)までには相続登記が義務化される予定ですが、現在のところ相続登記をするかどうかは自由ですので、期限はありません。
 したがって、相続手続きは、葬儀や法要が済んで落ち着いた頃に取り掛かるということで問題ありません。
 具体的には、どんな遺産があるのか、戸籍を見て誰が相続人なのかを明らかにして、遺言書が残されていないかどうかも調べるのが良いでしょう。

2、期限がある手続きの例
 ただし、相続に関する手続きは、登記手続に限りません。相続税の申告など、登記以外の手続きもあるわけです。その中には、次のように期限が設けられているものもあります。

(1)相続放棄・限定承認は3か月
 相続により、相続人は遺産を受け継ぎます。
 しかし、その遺産というのは、現金や不動産、車などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスのものも含みます。そのため、相続によって多額の借金までも引き継いでしまうという事態も生じます。
 たとえば、プラスの財産が1000万円であるのに対して、借金が1500万円あるとすると、相続によって差額500万円のマイナスを負担することになり、相続人はトータルでみると損をすることになります。

 相続によって損をしたくないと思う場合、相続放棄をするという選択もあります。
 相続放棄をすると、プラスの財産を受け継ぐこともできなくなる一方、マイナスの財産も受け継がないで済みます。
 なお、限定承認という方法もあります。これは、マイナスの財産がいくらあるか分からない場合に利用される制度です。相続するものの、プラスの財産の額を超えて借金などを支払う必要がなくなります。
 しかし、限定承認は手続きが面倒で、専門家に依頼する報酬も多額です。そのため、あまり利用されていないのが現状です。

 このような相続放棄・限定承認が可能な期間は、法律上、被相続人が亡くなったことを知った時から3か月以内です。
 そのため、亡くなった方が遺した書類などから借金の存在を知った場合、借金まで背負いたくないというのであれば、マイナスの財産がいくらあるのか、早めに調べるべきです。

(2)相続税納付、延納手続きは10か月
 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。この期間を過ぎた場合、延滞税・加算税というペナルティが課されてしまいます。
 なお、10か月を過ぎるまでに遺産分割が終わっていない場合でも、相続税の申告はする必要があります。
 具体的な手続きは、相続税専門の税理士に聞いてみるのが良いでしょう。

3、まとめ
 遺産分割協議を行う時期に、明快な正解はありません。しかし、どんな遺産があるのか、遺書があるのか、相続人が誰なのかが明らかになったあと、相続人の間で「遺産をどうやって分けようか」を落ち着いて話し合える雰囲気が出来上がった時が適当な時期です。

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 佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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