１、工場抵当
　太陽光発電設備に抵当権の効力を及ぼしたい場合、工場抵当という方法があります。

　土地や建物に抵当権を設定する場合と違う点は、工場抵当では機械器具目録を作成しなければいけないということです。
　その趣旨は、法務局に行って機械器具目録を調べれば、どの機械や器具に抵当権の効力が及んでいるか分かるようにするためです。どの機械器具に抵当権の対象になるかどうかが登記簿調査で分かれば、取引などでこれから利害を持とうとする人にとって安心です。もし抵当権が実行されることになっても、どの機械器具が抵当権の対象になるかが明確にされているほうが競売手続きを円滑に進められます。
　太陽光発電設備で機械器具目録に記録される典型的なものは、太陽電池モジュールとパワーコンディショナです。

２、機械器具目録の内容
　機械器具目録にはどんなことが記録されるのでしょうか？
　工場抵当登記規則によると、以下のことが記録されます（同規則８条）。
　　ア、種類（太陽電池など）
　　イ、構造（単結晶シリコンなど）
　　ウ、個数又は延長（〇〇枚など）
　　エ、製造者の氏名又は名称
　　オ、製造の年月
　　カ、記号、番号（型式など）
　エオカは、アイウと異なり、そのような情報があるときに記録されます（同条４号）。なければ記録されません。

　太陽電池モジュールには１枚１枚にシリアルナンバーが付されています。
　シリアルナンバーは上記の「カ」に該当するので、機械器具目録に記録されます。

３、留意点
　金融機関から工場抵当の登記依頼があると、私から金融機関のご担当者にアからカに該当する情報の提供をお願いしています。
　また、機械器具目録の作成には相応の労力がかかるので（工場抵当ではこれが大変）、司法書士報酬として通常の抵当権設定登記より数万円余計に頂いております。どうかご留意ください。


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