1、名寄帳とは
相続登記の手続きのご依頼があった場合、ご依頼者の承諾を得たうえで名寄帳(なよせちょう)という書類を市区町村の資産税課で取得させてもらうようにしています。
「名寄帳」とは、ある方が所有者になっている土地と家屋を一覧にした書類です。
たとえば亡くなった父親の名寄帳を取り寄せると、そこには父親名義の土地と家屋がリスト化して記載されています。
2、名寄帳を取得する理由
相続登記で名寄帳を取得する理由は、主に以下の点にあります。
①名寄帳には登記されている土地・家屋に限らず、未登記家屋も記載されているので、名寄帳を見ることで「未登記家屋を見落として相続手続きを進める」という失敗を未然に防止できる。
②固定資産税が課されない不動産(公衆用道路、山林、農地、私道など)も記載されているので、非課税不動産の相続登記漏れを防止できる、など。
毎年5月頃になると、市区町村から不動産所有者に「固定資産税・都市計画税 納税通知書」と一緒に「固定資産税・都市計画税 課税明細書」が送られてきます。
こちらの書類にも所有不動産の一覧が記載されています。
しかし、非課税の不動産は記載されません。
そのため、「固定資産税・都市計画税 課税明細書」だけを見て相続登記をすると、非課税の不動産を見逃して名義変更を忘れてしまうおそれがあります。
よくある失敗は、公衆用道路の名義変更忘れです。
たとえば、①家と②その敷地と③家の前の公衆用道路をセットにして名義変更をする場面を思い浮かべましょう。
「固定資産税・都市計画税 課税明細書」には①家と②敷地が記載されているだけで、③は記載されていません。
そのため、「固定資産税・都市計画税 課税明細書」だけを見ていると③の名義変更を忘れます。
もし名寄帳を見て所有不動産を調べていれば、このような「物件の相続漏れ」を未然に防止できます。
3、相続人から名寄帳を請求できる?
納税義務を負う本人が名寄帳を請求できるのは当然ですが、相続登記の場面では本人が死亡しています。
この場合、相続人(遺言執行者も)から名寄帳を請求できます。
また、相続人から委任を受けた司法書士などの代理人も請求できます。
相続人が代理人に依頼しないで市区町村の窓口で名寄帳を請求するには、以下の書類が必要です。
①名寄帳交付申請用紙(窓口にあります。名称は市区町村で異なります。)
②亡くなった方の除籍謄本(死亡の事実が記載されたもの)
③窓口で申請する相続人の戸籍抄本または謄本(相続人証明のため。)
④申請する相続人の本人確認書類(運転免許証や運転経歴証明書、マイナンバーカードなど)
市区町村によっては、さらに他に必要な書類が案内されます。必要書類は何か、事前に請求先の市区町村の資産税課に確認するのが良いでしょう。
名寄帳取得には数百円の手数料がかかります。市区町村によっては無料で発行してくれる自治体もあったり、有料でも市区町村によって金額が多少異なります。
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