【不動産】仮差押登記の抹消

2022年06月01日 14時00分 不動産

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広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。

1. 仮差押え登記とは
不動産の相続手続きのご相談で不動産の登記を見ると「仮差押」と記録されていました。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんので解説します。

・財産隠しを防ぐため
たとえば誰かにお金を貸しているけれど、相手がお金を返してくれないとします。
貸金返還を求めて裁判を起こしたとしても、裁判中に相手が財産を使い果たしたり隠したりしてしまうかもしれません。
仮に勝訴しても財産がなければ無い袖は振れないわけで、裁判に注いだ債権者の労力は報われません。

そのため、仮差押えという方法で財産の処分を制限し、相手の財産をひとまず確保しておいて後は裁判で白黒つけるわけです。

2. 仮差押え登記が不要になったときの手続き方法
(1)仮差押え登記を抹消する

お金の貸主が全額返済を受けたときは、「仮差押命令の申立ての取下げ」という手続きを裁判所でおこなうことで仮差押え登記は抹消されます(嘱託(しょくたく)登記)。
一般の方が法務局に直接おもむいて仮差押えの抹消登記を申請するわけではありません。

(2)仮差押え登記が残ったままということもある
ところが、お金を返してもらったけど貸主が裁判所で取下げの手続きをしないということもあり得ます。お金を返してもらえて十分と考え、抹消手続きを行わないわけです。
借主も、お金を返したので問題は解決したと思い込み、仮差押え登記を消す手続きを忘れてしまうことがあります。
この場合、仮差押登記は登記上ずっと残ったままとなります。

3. 仮差押え登記を抹消する具体的な方法
なにかがきっかけとなり仮差押え登記が残ったままであることに気づき、どうやって消そうかと悩まれる方がときどきおられます。
この場合のもっとも現実的で手間が少ない方法は、債権者に協力を仰いで仮差押え命令の申立てを取り下げてもらうことです。

(1)債権者が金融機関などの法人の場合
債権者が現在も活動している金融機関で、実際に借入金を全額返しているなら、相談に応じてくれるはずです。

※私の経験談(債権者が協力的だったケース)
仮差押えの債権者は地元の金融機関で、仮差押え登記の抹消にあたり裁判所に提出する書類は金融機関で作成されるなど、手続きにスムーズに協力してくださいました。
なお、現在は存在しない名前の金融機関や会社などが仮差押えをしていたときは深い調査が必要ですので司法書士に相談されるのが良いです。

(2)債権者が個人の場合
数十年前に個人の債権者が仮差押えしたケースだと、債権者の所在を探し当てるのに苦労します。
協力的でない債権者もいるでしょう。その方が亡くなっている可能性もあります。

※私の経験談(債権者が亡くなっていた)
・債権者の死亡の確認
仮差押え登記の債権者がお亡くなりになっていたことがありました。この場合、その法定相続人“全員”が手続きの当事者になります。

・戸籍謄本等で相続人を特定
法定相続人を特定するために、亡くなった債権者の戸籍謄本などを集める必要がありました。
こちらの戸籍謄本等は司法書士が職権により取得できます。司法書士が裁判所に提出する書類を作成するために必要だからです。

・相続人全員の同意・押印を得る
そのうえで、判明した相続人と借主との間で抹消手続きを進めることに合意してもらい、裁判所に提出する書類に押印をしてもらいました。
ここで注意したことは、「司法書士が代理人として相続人と交渉することはできない」という点です。
司法書士は裁判所に提出する書類を作成できますが、抹消の了解を得るべく債務者(お金の元借主)の代理人として交渉することは弁護士法違反です。

・判断能力に問題がある場合は後見人の選任
もし相続人の中に重い認知症などで判断能力が欠ける方がいた場合、どうなっていただろうかと思います。押印にあたり手続きを理解してもらえなければいけませんので、その方に後見人をつけ、本人の代わりに後見人に押印してもらうなどの対応が必要です。

4. おわりに
相続登記をして登記を自分名義にしたけど仮差押え登記がついたまま、というケースが見られます。
そのような不動産売却は法的には可能とはいえ、売ろうとしても実際には買い手はなかなか見つかりません。しかも、仮差押登記を消そうとすると、抹消までに数か月かかることがあります。
仮差押えの用が済んだなら、その登記を忘れずに抹消しましょう。
気になる方は司法書士にご相談ください。

※本記事は2025(令和7)年4月16日に加筆しました。

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