不動産の相続手続きのご相談で不動産の登記を調べると、「仮差押」という記載がされていました。
「仮差押」という言葉、4630万円の誤振込みの報道で耳にした方もおられると思います。
仮差押えは「将来の強制執行の申立てに備えて、強制執行の前に債務者の財産を仮に差押え、その処分を封ずる裁判所の保全処分」と定義づけられます。
貸したお金を返してもらうために訴訟を提起したところで、そんなに早く決着がつくわけではなく、裁判で争っている間に相手が財産を使い果たしてしまうかもしれません。
裁判で勝っても相手に財産がなければ無い袖は振れないわけで、裁判に注いだ債権者の労力は残念ながら報われません。
そのため、仮差押えという方法で引き当てとなる相手の財産をひとまず確保しておいて、後は裁判で白黒つけるわけです。
不動産に仮差押があったかどうかは、不動産の登記記録を見れば判明しますが、お金を返したはずなのに仮差押登記が残ったままだということもあります。
お金を貸している債権者がお金を全額返済されたときに、「仮差押命令の申立ての取下げ」を裁判所でおこなえば、裁判所が法務局に嘱託(しょくたく)することで仮差押え登記は抹消されるようになっています(※嘱託による登記なので、一般の方が法務局に直接おもむいて仮差押えの抹消登記を申請するわけではありません。)。
ところが、お金を受け取るだけ受け取って、債権者が裁判所で取下げの手続きをしていない場合、仮差押登記は登記上は残ったままです。
この場合の一番簡単な解決策は、債権者に協力を仰いで仮差押え命令の申立てを取り下げてもらうことです。
債権者が現在も活動している金融機関で、実際に借入金を全額返しているなら、相談することで応じてくれるはずです。
しかし、数十年前に個人の債権者が仮差押えしたケースだと、債権者の所在を探し当てるのに苦労します。協力的でない債権者もいるでしょう。他にも、現在は存在しない名前の金融機関が仮差押えをしていたときも頭を悩ませます。
私が最近扱った事案では、債権者はしっかりした地元の金融機関で、手続きにも協力的でした。もし協力を得られない場合には別の方法があるのですが、少し複雑です。
仮差押えがついた不動産の登記名義の変更は法的には可能とはいえ、売買などの局面では仮差押えの登記がついている不動産は嫌がられます。仮差押えがついている不動産が確実に買主のものになるとは限らないからです。
「仮差押えが放置されたまま」という不動産をお持ちの方はあまりおられないと思います。
もし仮差押登記が残ったままの場合、いざ仮差押登記を消そうとすると抹消までに数か月かかることがあります。気になる方は司法書士にご相談ください。
☆ブログランキングに参加中☆
にほんブログ村
↑クリックしていただけるととてもうれしいです!
広島県福山市駅家町大字万能倉734番地4-2-A
佐藤正和司法書士・行政書士事務所
TEL084-994-0454
お問い合わせはこちら!