「司法書士試験は実務登用試験である」
「司法書士試験で学んだことは実務に直結する」
など、試験勉強をしていたときに資格試験の予備校講師がおっしゃっていました。
たしかに、試験勉強で得た知識やものの考え方は、司法書士実務で大変役立っています。
しかし、登記案件で最近私が経験した「共有者全員持分全部移転」については、試験と実務とで考えが違うなあと思うことがありました。
ある土地をAさん、Bさんとで共有しています。ABがともにCさんにその土地を売るとしましょう。
どちらかの持分に担保権が設定されていたり持分差押えなどの特殊な登記がされていないことが前提です。
この場合の登記申請書に書く「登記の目的」は、試験勉強では「共有者全員持分全部移転」と覚えます。
もし模擬試験でこの目的を書かせる記述式問題が出題されたら、「共有者全員持分全部移転」とかかなければいけません。「所有権移転」と書いたら、添削者に✕(バツ)を付けられます。勉強を基礎からやり直せと。
しかし、実際の案件では「所有権移転」でも良いようです。
数年前に上記のケースで「共有者全員持分全部移転」で登記申請したところ、登記が終わった後の不動産の全部事項証明書(謄本)を見てみると「所有権移転」と登記されていたことがありました。
あのときはたしか、法務局から何ら連絡なくそういう登記がされたので、「あれ、『共有者全員持分全部移転』で申請したのに、その通りに登記されてない!」と衝撃が走りました。
経験豊富な方に質問すると「それでいいんだよ」とのことでそのときは納得することにしました。
それ以来、実務では「所有権移転」で問題ないものと理解しています。
最近にも同様のケースをさせていただく機会があり、今度は「所有権移転」で申請しました。
申請してから1週間、無事に登記されるか気が気でなかったものの、補正連絡はなく申請書通り「所有権移転」で登記は完了しました。
参考として司法書士のホームページをいくつか見ると、「所有権移転」ではなく「共有者全員持分全部移転」だと紹介しているものばかりです。
その通りで正しいのです。実務でも誤りというわけではありません。
ただ、「所有権移転」であっても現に登記されるわけですから、それもまた実務的には間違ってはいないと私は理解しています。
ちなみに、新しく登記名義人になったCさんに交付される登記識別情報の枚数は不動産1個につき1枚です。
試験でも実務でも、AB2人から持分を取得したから2枚だということにはなりません。
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佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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