「農地を相続したけど、自分は農業をやってないから耕してない」
こういうことは珍しいことではありません。
親は地元の土地で農業をやっていたけど、自分は地元を離れて会社員をしている。
よくある家庭事情です。
相続する方にとっては持っていてもどうしようもないので、だれか欲しい人がいれば譲りたいと思うこともあります。
1、農業委員会の手続き
農地を農地として使ってもらうために行う譲渡では、市町村の農業委員会で許可手続きをします。
その農地が市街化区域・市街化調整区域どちらであっても許可が必要です。
そして、農地を相手に譲った後も農地として使ってもらう予定の場合、譲り受ける方が1000㎡以上の農地を耕作していることが、農地基本台帳で確認できなければいけません(福山市の場合)。
この1000㎡の面積には、譲渡される農地の面積も含まれます。
1000㎡の耕作面積があるかどうかは、市町村の農業委員会で農地基本台帳を閲覧して調べます。
「このたび譲渡される予定の農地の面積を含めても、1000㎡には届かない」というときは、農業委員会の許可は得られません。
2、農地法3条違反の耕作
譲受人が「1000㎡は確保できているはずだ」と思っていても、農業委員会で調べてみると、農地基本台帳ではそれが確認できないこともあります。
そういう場合、「譲受人は、今まで農業委員会を通さずに耕作してきたのかな」と思ってしまうことがあります。
繰り返しますが、農地の処分(貸借も含む。)は農業委員会の手続きを経なければいけません。
とくに農業委員会を通さない農地の貸し借りは「ヤミ耕作」といわれます。
農業委員会の手続きを通すことは農地法3条に定められています。
そして、農業委員会を通さないで農地の処分(貸借も)は農地法3条違反により3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます。
「3が続いて覚えやすい」という呑気な豆知識は置いておくにしても、3条違反は犯罪となるわけです。
犯罪なんだと気づいたら、早めに解消する手続きをしましょう。
広島県福山市駅家町大字万能倉734番地4-2-A
佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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