広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
先日成年後見人への就任依頼があったので引き受けました。
内容は、唯一の身内の方が亡くなり、被後見人の面倒をみる人がいなくなったため、司法書士を後見人にしたいというものでした。
いわゆる首長申立てのケースです。
首長申立ては「本人の福祉のため特に必要と認めるとき」に可能です(老人福祉法32条など)。
そして、首長申立てには次のポイントがあります(先例:厚労省平成17年7月29日発)。
①市町村は、あらかじめ2親等以内の親族の有無を確認すること
(※本人の両親、兄弟姉妹がいるかどうか確認しなければいけないということ)
②「2親等以内の親族がいない場合であっても、3親等又は4親等の親族であって審判請求をする者の存在が明らかであるときは、市町村申立てを行わないことが適当」とされること
(※両親、兄弟姉妹がいなくても、おじ、おば、いとこがいることが明らかであれば首長申立ては適当でないということ)
上記要件を満たして首長申立てに至ったという経緯があります。
「その方が亡くなったときの手続きは誰がするのか?」
「その方が手術を必要とするときは、後見人に手術の同意権があるのか?」
など考えることが多く出てきます。
施設職員の方などとしっかり連携を図り「何が本人のためになるか」を考えながら業務にあたります。
【2024(令和6)年8月14日追記】
以下のブログ記事は2021(令和3)年10月29日に掲載したものです。本稿と同じ「身寄りがない被後見人」に関する記事ですので同日付けの記事を削除のうえ改めて掲載します。
【身寄りがない被後見人】
身寄りがない方の後見人をしていますが「この場合どうなるか?」と考えることが多いです。
1. 本人の身体拘束への同意?
施設に入所中に本人が興奮して暴れることがあります。
身体拘束は原則として禁止されていますが、他の入所者とのトラブルや施設の物品の損壊などの事故が起こらないように、本人の身体の一部を拘束したり運動を制限するということが緊急時やむを得ず行われることがあります。
この身体拘束について成年後見人は原則として同意権を有しません。
2. 手術などの医療行為についての同意?
(1)健康診断受診や各種の検査の受診
原則として成年後見人に同意権があります。
(2)手術
身寄りがない方の場合、病院としては手術にあたって被後見人の親族と連絡がとれないため、本人に近い存在の成年後見人から手術の同意を得ようとなるようです。
しかし、手術など本人の生命や身体の安全に直接関わる同意権は成年後見人に認められていません。
3. 亡くなった場合の葬儀は?
身寄りがない方の成年後見人が亡くなった場合、葬儀や納骨も検討すべき課題です。
(1)火葬
ア.結論
成年後見人は、本人の「死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結」について家庭裁判所の許可を得れば可能とされます(民法873条の2第3号)。
相続人がいない方の葬儀を成年後見人が主催するケースでは、通夜・告別式などの宗教色儀式を行わない「火葬」のみ(直葬)であれば成年後見人も可能とされています。
イ.理由
そもそも成年後見人は本人の死亡の時点で任務を終了します。
そのため火葬などの死後の手続をすることは成年後見人の義務ではないのですが、それだと誰も火葬などの死後手続きをする人がおらずご遺体を放置するのかという問題が生じます。
これではいけないので、成年後見人であった者が例外的に一定の死後の手続ができるようにしています。
ただし、成年後見人による葬儀の執行は例外的位置なので、通夜・告別式などの宗教的儀式を伴わない最小限の「火葬」にとどめるべきと私(佐藤)は理解しています。
したがって、被後見人が通夜・告別式などの宗教的儀式を伴う葬儀をすることを生前契約で締結していない限り、宗教的儀式を伴う葬儀は避けるべきです。
(2)納骨
弊所では、身寄りがない方の納骨は家庭裁判所と相談しながら進めます。
私が過去経験した事案の中に、被後見人本人に相続人はいないが親戚がいるというケースがあります。
そのときは親戚の方が遺骨の引取りと納骨を希望したため、私が家庭裁判所と相談のうえ親戚の方に遺骨を引き取ってもらいました。
【2024(令和6)年7月30日追記】
本人が入所する施設職員の方から、首長申立てをしようとしたところ本人に2親等以内の親族がいるので首長申立てをしないと市担当者から言われたため、本人申立てに切り替えて後見開始申立書類作成のご相談で弊所を訪ねて来られたというケースがありました。
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