【相続】行方不明者がいる遺産分割|不在者財産管理人・失踪宣告を司法書士が解説

2022年03月03日 20時00分 相続・遺言

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広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。


1.相続人が行方不明の場合の遺産分割|不在者財産管理人と失踪宣告の違いを司法書士が解説
「父が亡くなり遺産分割をしたいのに、相続人の一人と何年も連絡が取れない。」
このようなご相談をいただくことがあります。遺産分割協議ができないため、相続登記を進められないケースです。相続登記を行うためには、まずこの問題を解決する必要があります。

相続人の中に行方不明者がいるからといって、その人を除いて遺産分割協議をすることは原則としてできません。
しかし、状況に応じた制度を利用することで、遺産分割を進めて後の相続登記につなげることができます。
このような場合に利用を検討する制度として
・不在者財産管理人の選任
・失踪宣告
があります。
今回は、それぞれの違いや注意点について実際の業務経験も交えながらご説明します。

・私の経験
以前、相続人の一人が行方不明となっているため、相続登記を進められないというご相談を受けました。
お話を伺うと、法定相続人Aさん、Bさん、Cさんの3人で相続した不動産について、Aさん単独名義にしたいものの、Cさんが長年行方不明で遺産分割協議ができないという事案でした。

このような場合、一般的には家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立て、選任された不在者財産管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議に参加します。

不在者の生死が7年間明らかでないときは、失踪宣告を利用できることもあります(普通失踪)。


2. 不在者財産管理人と失踪宣告の違い
両制度の違いを簡単にまとめると、次のようになります。


【不在者財産管理人】
①利用場面:行方不明者に代わって遺産分割する場合
②家庭裁判所への申立て:必要
③費用:予納金が高額になり得る
④本人の扱い:行方不明のまま


【失踪宣告(普通失踪)】
①利用場面:7年以上の間生死不明で遺産分割する場合
②家庭裁判所への申立て:必要
③費用:収入印紙・官報費用など
④本人の扱い:法律上死亡とみなす


・不在者財産管理人は費用が課題になることがあります

実際のご相談では、よく費用について質問されます。
不在者財産管理人の選任手続では、予納金について理解しておきましょう。
予納金とは、不在者財産管理人の報酬や管理費用に充てるため、あらかじめ家庭裁判所に納めるお金です。事案によっては、予納金が数十万円になることがあります(※1)
私がご相談を受けた事案でも、この費用負担が大きな悩みとなり、不在者財産管理人制度を利用するかどうか引き続き検討したいとのことで保留となりました。

・失踪宣告は「死亡したものとみなされる」制度
費用だけを考えると、失踪宣告を選択するほうが良いようにも思えます。
しかし、失踪宣告には大きな特徴があります。
それは、実際には本人がどこかで生存していたとしても、法律上、本人が死亡したものとみなされることです。
その効果として
・戸籍に死亡したものとみなされる旨が記載される
・本人について相続が開始される
・配偶者は再婚できる
などの法律上の効果が生じます。
実際には生存しているかもしれないという希望を持っているご家族にとっては、この制度を利用することにより心理的な抵抗を感じられる場合も少なくありません。
一方、不在者財産管理人制度では、本人が死亡したものとは扱われません。


・私の経験
私が失踪宣告申立書を作成した事案では、親族が申立てをした後に、家庭裁判所の調査により不在者が約5年前まで勤務していたことが判明しました。
それにより「7年間生死が明らかでない」という普通失踪の要件を満たさないことが分かり、申立人は失踪宣告の申立てを取り下げることになりました。
この経験から、ご依頼者が失踪宣告を申し立てる前に、可能な範囲で生存情報を確認しておくことの大切さを実感しました。


・ご相談では何を重視すべきか
ご相談の内容によっては、不在者財産管理人と失踪宣告のどちらも利用できることがあります。
その際は、どちらを利用するかご相談者に判断してもらうために、両制度のメリット・デメリットを説明しています。

とくに
・不在者財産管理人制度では高額な予納金が必要になる可能性
・失踪宣告では法律上死亡したものとして扱われること
について理解を得るようにしています。
制度として利用できても、ご本人やご家族の考えに合わなければ適切な選択とはいえないからです。

3. まとめ
以上のとおり、相続人が行方不明の場合でも遺産分割を進められる可能性があります。
どちらの制度が適しているかは、行方不明の期間やご家族の事情、費用面などによって異なります。
当事務所では、初回相談でそれぞれの制度の特徴やメリット・デメリットをご説明し、ご事情に応じてどちらの制度が適しているかご一緒に整理いたします。
「相続人が行方不明で相続登記ができるか分からない」「どちらの制度を利用すべきか迷っている」という場合は、お気軽にご相談ください。事案に応じて適切な手続をご案内いたします。


※1 予納金は、不在者財産管理人の業務終了後に残額があれば返還されます。

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相続人が行方不明で相続登記ができない場合の対処法

(公開日:2022年3月3日/最終更新日:2026年7月18日)
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