売買や贈与による所有権移転登記などで必要となる書類の一つに、登記識別情報というものがあります。
これは、12けたのアルファベットと数字の無作為な組み合わせで作られているもので、銀行で払戻などで必要な暗証番号のようなものです。権利の名義人以外の者が、勝手に名義を書き換えることを防ぐ役割を担っています。
しかし、ひと昔前までは、登記識別情報というものは存在しませんでした。
登記識別情報が登場する以前は、登記済み証(登記済み権利証)という紙が利用されていました。
これは、赤色の名刺ぐらいの大きさのスタンプが登記申請書(控え)にポンと押されているもので、そのスタンプには「平成〇〇年〇〇月〇〇日受付第〇〇〇〇〇〇号」と書かれています。
登記済み権利証から登記識別情報に切り替えがされた時期は、管轄法務局ごとに異なっています。
たとえば、福山の法務局では平成17年11月28日以降、尾道の法務局では平成18年12月11日以降、登記識別情報が発行されるようになりました。これより前の日では、登記済み権利証です。
登記済み権利証と登記識別情報とは、厳密には別のものです。
しかし、不動産屋や司法書士の同業者の間では、「権利証はありますか?」というと、ほとんどの場合こちらの意を汲んで、登記識別情報を指して「あります」と答えてくれます。
権利証という言葉が、慣用的に登記識別情報をも含むと理解してくれているからだと思います。
それでも、登記済み証と登記識別情報について正確な理解をお持ちの方の中には、「権利証はない。登記識別情報ならある。」と答えられる方もおられます。
たしかにおっしゃる通りです。
登記識別情報をも指して権利証ということに慣れてしまっている私としては、正確な用語の使い方をきちんとしなければならないなと思うとともに、コミュニケーションは相手の理解度に応じてできるようになりたいと考えました。
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佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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