【相続】相続財産管理人の任務終了

2023年01月25日 19時00分 相続・遺言

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 広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
 司法書士・行政書士の佐藤正和です。

 私は相続財産管理人の仕事をしています。

 「相続財産管理人って何?」と思うところですが、相続人が一人もいない「おひとりさま」が死亡したときに登場してくる人です。

 配偶者や子どもがいる場合、その人が亡くなると配偶者や子が法定相続人になって遺産分割協議などをします。相続手続きは配偶者や子がするわけです(みんなが相続放棄をしてしまえば別です。)。

 みんなが相続放棄をしたり、そもそも法定相続人が一人もいない場合、誰も財産を引き継いでくれる方がいません。
 この場合、亡くなった方の利害関係人(お金を貸していた債権者など)から「相続財産管理人」を選任するよう家庭裁判所に申立てをされ、相続財産管理人が選任されます。
 本人がお金など財産を持っていれば、それを本人の借金返済に充てます。本人の財産を清算したり、管理すべき財産がなくなってしまえば、相続財産管理人の仕事は終了です。

 私は相続財産管理人を去年引き受けてその仕事をしてきました。
 しかし、昨日管理すべき財産がなくなったので、今日、家庭裁判所に終了報告書を提出してきました。

 相続財産管理人に選任された時、家庭裁判所から相続財産管理人の手引き(マニュアル)を受け取っていました。
 それをみると、終了報告書といっしょに「相続財産管理人 選任 取消 申立書」なる書類も提出してくださいとのこと。

 なのでその書類も提出したところ、窓口で担当者に渡すと「これは要らないですけど、出しますか?どうしますか?」と言われました。

 マニュアルに書いてあるから用意したのですが、その方から「取消しの申立てをしなくても、職権で取り消すことができるので書類は不要」と教えてもらいました。

 それでも「せっかく書類を作ったので提出します」と伝えて書類を受け取ってもらいました。
 あの担当書記官の方とのやりとりは何だったんだろうと気になりながら事務所に帰って条文を引くと、次の規定がありました。

家事事件手続法
第208条及び第125条第7項
 家庭裁判所は、相続財産管理人が…管理すべき財産がなくなったとき…は、申立てにより又は職権で、相続財産管理人の選任の取消しの審判をしなければならない。 

 なるほど。こちらから取り消してと申し立てなくても、勝手に取り消してもらえるのか。
 申立てだと、申立書に500円の収入印紙を貼り、取消審判書を事務所に郵送してもらうなら84年の切手が必要です。
 職権でいけば、計584円を支払わなくても済んだようです。
 ああ、もったいないことをしたなあ。でも担当書記官の方に教えてもらっていなければこの条文と出合うことはなかっただろうし、勉強代だと思うと安いもんです。

 相続財産管理人の制度は令和5年4月1日から改正され、名称が「相続財産の清算人」に変わります。
 しかし選任審判が職権で取り消されることに変更はありません。

 今後もよく覚えておきます。


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