広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
1. 相続人がいない成年被後見人が亡くなった場合に登場
私は相続財産清算人の仕事をしています。
・清算人になった経緯
あるとき、私が後見人を務めていたご高齢の方がお亡くなりになりました。
戸籍を調査してもその方には相続人がいませんでした。
相続人がいない場合、亡くなった方の財産を管理する人がいなくなります。
だからといって財産を放置するわけにはいかないので、家庭裁判所が相続財産清算人(以下、清算人とします)を選任し、清算人が財産の清算事務をすることになります。
清算人選任申立書には私を清算人に選任してもらいたい旨記載して、そのとおり私が清算人に選任されました。
2. 相続人全員が相続放棄をしたときにも登場
法定相続人全員が相続放棄をしたときも法律上「相続人がいない」状態になります。
そのようなときは、亡くなった方の利害関係人(お金を貸していた貸金業者など)から家庭裁判所に清算人選任を申し立て、選任された清算人が財産整理をおこないます。
3. 清算人の業務終了と書類提出の際の経験
(1) 終了報告書の提出
清算人はご本人の財産(不動産、預貯金の有無など)や債権者がいないかなどの調査をします。
必要に応じて清算人が本人の財産から借入金を返済したりもします。
本人に管理すべき財産がなくなってしまえば清算人の仕事は終了です。
清算人の仕事を終えると、家庭裁判所に終了報告書を提出します。
私が関与したケースでは、家庭裁判所から相続財産管理人の手引き(マニュアル)を受け取り、「終了報告書」とともに「選任取消申立書」も提出するようにと記載されていました。
私はその記述にしたがい両方の書類を提出しましたが、裁判所窓口で「こちらは提出不要です。職権で取り消します」というご説明を受けました。
(2) 条文を確認しました
裁判所とのやりとりをきっかけに事務所に戻り条文を確認すると、以下の規定がありました。
家事事件手続法
第208条及び第125条第7項
家庭裁判所は、・・・管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、・・・財産の管理者・・・利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。
つまり申立てをしなくても、家庭裁判所が職権で清算人の選任を取り消すということです。
4. 教訓を今後に活かすには
今回の件では、書記官の方に教えていただいたおかげで関連条文を勉強できました。専門職として、やはり条文の確認を怠ってはならないこともあらためて実感しました。
今後も業務で迷ったときは、原点に戻って条文を確認する姿勢を大切にします。