「〇〇町大字〇〇100-1の土地の登記簿を取ったけど、別の土地の登記簿みたいなのですが。」
1、同じ地番の土地が2つある?
通常、同じ大字の地域の中には、同じ地番は存在しません。
しかし、広島県ではそのようなことがあり得ます。
地番が重複した経緯は、宅地や農耕地などの耕地と、山林や原野などの山間地に、それぞれ1番から順に地番を振っていったからです。
そのため、たとえば地番が「1番」の土地が、「耕地番の1番」と「山地番の1番」の2つ存在することになってしまいました。
2、重複地番の不都合
同じ地番が複数あると、どのような不都合があるのでしょうか?
不動産の権利関係を調べるために、登記事項証明書(謄本・とうほん)を法務局で取得する場面を考えてみましょう。
「耕地番の1番の土地の謄本を取ろう」と思って法務局に備え付けられている謄本の請求書に「1番の土地」と記入して窓口に請求すると、耕地番ではなく、「山地番の1番の土地」の謄本が交付されるかもしれません。
そのような間違いがあるたびに、目当ての謄本を入手すべく請求書を書き直したりするのは面倒ですし、法務局にとっても事務処理上の負担が生じます。
そこで、法務局では重複地番の解消が進められています。
3、どんな手続き?
地域によって、重複地番の解消の方法は異なります。
たとえば、「福山市神辺町大字道上」では、原則として、山地番に7000を足す方法で解消させたそうです。
具体的には、従来の「山211番」については、「7211番」にすることで、地番の重複をなくしました。
福山市神村町などの別の地域では、原則として山地番に10000を足すという方法をとっているところがあります。
4、登記手続に影響はある?
もし、山地番の1番を住所としている方が、ある不動産の所有権登記名義人になっているとしましょう。
登記記録にも、住所は「1番地」と記録されているとします。
この場合、重複地番の解消のために、山地番の1番が「7001番」に地番変更されると、登記記録上の住所は「1番地」だが、実際の住所は「7001番地」だということで、登記記録上の住所を実際のそれに合わせるために「所有権登記名義人住所変更」の登記をすることになります。
ただ、このブログを書いている時点では、この「住所変更登記」をすることは義務ではありません。
しかし、その不動産についている抵当権の抹消登記をする場合は、抹消登記の前提として「住所変更登記」をしなければいけません。
また、その不動産を担保にして金融機関から融資を受ける場合、「住所変更登記」をするように司法書士や金融機関から求められます。
重複地番解消による地番変更は、国の政策によって行われるものの、不動産の登記名義人の「住所変更登記」までも国が変更してくれるわけではありません。
その登記手続きをするかどうかは、登記名義人各自の判断に委ねられています。
地番変更の対象地域内の不動産を所有する登記名義人の方には、法務局から封筒で連絡がされていると思います。
内容がよく分からないという場合、お近くの司法書士にご相談ください。
広島県福山市駅家町大字万能倉734番地4-2-A
佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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