広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
相続に基づく所有権移転登記(相続登記)の登録免許税について整理します。
1. 原則(不動産の評価額×1000分の4)
相続登記では登録免許税が原則として発生します。
相続登記の登録免許税の額は不動産の評価額×1000分の4(0.4%)です(※1)。
2. 例外
評価額が100万円以下の土地については免税されます(※2)。
3. 具体例
(1)評価額120万円の土地をAさん1人が相続する場合
登録免許税の有無:有(土地の評価額が100万円を超えるため)
登録免許税の額:4,800円(120万円×1000分の4)
(2)評価額120万円の土地をAさんBさんが共同相続する場合(相続持分は各2分の1)
登録免許税の有無:有(土地の評価額が100万円を超えるため)
登録免許税の額:4,800円(120万円×1000分の4)
《注意点》「Aさんは持分2分の1のみ相続」「Bさんも持分2分の1のみ相続」なので、評価額は2分の1ずつ(つまり60万円ずつ)になり免税されるのではないか?
→免税されません。評価額は120万円です。
(3)評価額120万円の土地を、Aさん(登記名義人Xさん死亡後に死亡)とBさん(生存中)が共同相続する場合(相続持分は各2分の1)
そもそも死亡しているAさんを登記名義人にできるのか?
→Xさん、Aさんの順で亡くなっているので、死亡したAさんを登記名義人にできます。
専門誌(※3)を参考にすると、登録免許税の有無と額については次の通りです。
登録免許税の有無:有(土地の評価額が100万円を超えるため。)
登録免許税の額:2,400円(Bが相続する持分2分の1相当額60万円×1000分の4)
《注意点①》登録免許税の額は4,800円ではありません。亡Aさんが相続した持分については免税されるからです(※4)。
《注意点②》土地の評価額は120万円です(Bが相続した持分相当額60万円ではありません。)。
4. 最後に
共同相続を検討する事案では、登録免許税の算定にあたり上記3具体例(3)に注意が必要です。
※1 登録免許税は最低でも1000円とされています。
たとえば、不動産の評価額が20万円の場合、
20万(円)×1000分の4=800(円)
という数字が得られますが、登録免許税は800円ではなく1000円です。
※2 「建物」ではありません。免税措置を受けるには登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載する必要があります。
租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用は令和9年(2027年)3月31日までとされています(令和7年7月17日時点)。
※3 登記研究914号(令和6年4月号)137頁(質疑応答)。
こちらの質疑応答は、以前に表明された登記研究901号(令和5年3月号)187頁(質疑応答)の考えを改める考えです。
古いほうの考えによると次のとおりですが、こちらの考えを改めたということです。
登録免許税の有無:無(亡A持分について租税特別措置法第84条の2の3第1項により免税。B持分(60万円相当)について評価額100万円以下であるため租税特別措置法第84条の2の3第2項により免税。)
登録免許税の額:0円
※4 租税特別措置法第84条の2の3第1項。同規定の適用は令和9年(2027年)3月31日までとされています(令和7年7月17日時点)。
免税措置を受けるには、登記申請書にAが相続する持分について「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する必要があります。
(公開日:2025年7月17日)
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