広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
ある株式会社の取締役が2名AとB、そのうち1名が代表取締役Aであるとします。
この会社の登記の「役員に関する事項」欄には
「取締役A」
「取締役B」
「代表取締役A」
という登記がされていることになります(住所は省略しています)。
その会社の定款は「取締役の互選により代表取締役を定める」としていることとします。
Bが取締役を辞任した場合、どのような登記が必要となるでしょうか。
1. 株式会社(特例有限会社以外)
次の(1)(2)に分けて考えましょう。
(1)定款で「取締役2名を置き、取締役の互選により代表取締役1名を定める」と規定されているケース
①取締役B辞任登記+後任取締役C就任登記の申請
定款で「取締役2名を置」くとしているので取締役として1名を加えます(※1)。
これにより登記の「役員に関する事項」は
「取締役A」
「取締役B」(※取締役B辞任登記)
「取締役C」(※取締役C就任登記)
「代表取締役A」
となります。
②Aは取締役・代表取締役として登記されたままです。Aに関するこれらの登記に変更はありません。
(2)定款で「取締役が2名以上存するときは、取締役の互選により代表取締役を定める」と規定されているケース
①取締役B辞任登記の申請
「取締役A」
「取締役B」
「代表取締役A」
上の(1)では後任取締役が選任されましたが、(2)ではBの後任取締役を選任する必要はありません。
定款では「取締役が2名以上存するときは」とされており「取締役が1名のみ存するとき」も許容していると読み取れるからです。
②Aは取締役・代表取締役として登記されたままです。Aのこれらの登記に変更はありません。
2. 特例有限会社(有限会社)
次の(1)(2)に分けて考えます。
(1)定款で「取締役2名を置き、取締役の互選により代表取締役1名を定める」と規定されているケース
①取締役B辞任登記+後任取締役C就任登記の申請
「取締役A」
「取締役B」
「取締役C」
「代表取締役A」
後任取締役Cの就任登記も申請します(※1)。
②Aは取締役・代表取締役として登記されたままです。Aのこれらの登記に変更はありません。
(2)定款で「取締役が2名以上存するときは、取締役の互選により代表取締役を定める」と規定されているケース
①取締役B辞任登記の申請+②代表取締役A氏名抹消登記の申請
「取締役A」
「取締役B」
「代表取締役A」(※抹消登記)
これは特徴のある登記です。
Aは従前通り代表取締役のままなのに登記上は「代表取締役A」から単なる「取締役A」になったように見えます。
そのためできあがった登記だけを見てAさんは「代表取締役からヒラの取締役になっている」と怪訝に思うかもしれません。
そうならないよう私は登記相談の段階でこのような登記が出来上がる旨、それでもAさんには今まで通り代表権がある旨を説明するようにしています(このような登記になる理由は理論的過ぎるのでご相談者には説明していません)。
似ているケースにNPO法人の「理事」に関する登記があります。理事長や代表理事など代表権がある理事なのに、登記では「理事長」「代表理事」などではなく単に「理事」と表記されます。
以上のとおり定款の内容によって必要となる登記が異なるので、ご相談の際に定款を拝見したい旨お願いしています。
しかし実際には会社の定款をなくされている方が珍しくありません。
定款が見当たらないときも対応策を考えますのでご相談いただければ幸いです。
※1 定款の取締役員数規定を「取締役1名以上を置く」など取締役1名の状態を許容する旨に変更する場合は取締役就任は不要です。
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