【不動産】土地の一部に地上権を設定すること

2022年08月05日 18時00分 不動産

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 土地の一部に地上権を設定することについて考えることがありましたので、これを書き留めます。

1、土地の一部への地上権設定の可否
 民法上、これは可能です。


2、土地の一部への地上権設定登記の可否
 不動産登記法上、これは不可能です。


3、実際と異なる地上権設定登記をした場合
 地上権が及ぶ範囲は、区分地上権という特別なものでないかぎり登記されません。
 にもかかわらず、「地上権の設定登記をしたいから」といってその登記をすると、土地の全部事項証明書(謄本)を見た人は1筆全体に地上権が及んでいると理解してしまいます。
 しかし実際には地上権は土地の一部にしか及んでいないので、範囲については虚偽の登記といえます。
 司法書士はこの登記に加担するわけにはいきません。


4、地上権設定登記をしない場合
 土地所有者(地主)が第三者に売買等により土地の所有権を移転して、所有権移転登記を備えた場合に問題が生じます。
 その問題とは、その第三者が地上権者に対して土地の使用収益をやめるよう主張できることです。
 一筆の土地の使用収益を相争う関係にある複数人の間では、原則、先に登記を備えた人がそれを備えていない人に優先するからです(民法第177条)。

 また、当事者(地主と地上権者)が、地上権の及ぶ「土地の一部」を決める契約を締結することは前述の通り可能ですが、専門家(土地家屋調査士)に相談することなくそのような契約を締結することには問題があります。
 その問題とは、「土地の一部」の具体的範囲をめぐって後日揉める可能性があるということです。


5、まとめ
 「土地の一部」をめぐるトラブル防止のためには、当該「一部」と「一部以外」の境界を明確にしなければいけません。
 分筆登記という方法がありますが、具体的な手続き内容は土地家屋調査士に相談するべきです。


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