司法書士の友達からの電話

2021年09月02日 08時00分 業務

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 司法書士が関わる登記の手続きはある程度パターン化しているので、よく見かける登記の仕事は、慣れてしまえば早く済ませることができます。

 しかし、普段親しみのない種類の登記では、間違いがあってはいけないので、本などで調べながら慎重に取り組むことがあります。
 それでも分からない場合には、私と同じ仕事をしている友達に電話で聞いたりします。

 先日、岡山県で司法書士をしている同期の友人から、「工場抵当」という、あまり見かけない登記の手続きについて質問を受けました。

 「工場抵当」というのは、本来は不動産にしか付けられない「抵当権」の効力を、工場に備え付けられている機械などの物件や、土地にくっついて一体化している物にも、及ぼしてしまおうという制度です。
 典型的には太陽光の発電設備(ソーラーパネル)があります。「工場」というとガシャーンゴトーンと音をたてながら何かを作っている建物を想像してしまいますが、ソーラー設備も一定の要件を備えると「工場」にあたります。
 「抵当権」という権利は、借金を返せない場合、裁判所の関与のもと、対象の不動産を取り上げて競売にかけてお金に変えることができる権利です。
 なぜ「工場抵当」という制度があるのかというと、競売にかけるなら、工場だけより、工場と機械などをセットにするほうが価値があるからです。価値が高くなると、抵当権の権利者となる金融機関としては借金不払いの際には競売によってお金の回収を図りやすいですし、お金を借りる側としても、より高い価値のものを引き当てとして金融機関に提供できるのでお金を借りやすいというメリットがあります。つまり、金融機関とお金の借り手双方にメリットがあるということで、「工場抵当」という制度があるわけです。

 一般論としては比較的明快なのですが、具体的に「牛舎」に工場抵当が及ぶのか?ということで、友人から電話で質問を受けたのです。

 これは、私自身、ある金融機関の担当者からソーラーパネルに工場抵当をつけるための書類の問い合わせをいただいて、必死に調べたことがあるテーマでした。

 ただ、「『牛舎』って工場抵当が及ぶ物件なのか?なんでもかんでも工場抵当の対象になるわけではないしなあ」と、すぐに回答できず、電話のこっちと向こうで、二人でああでもないこうでもないと本のページをめくって調べつつ対話を重ねました。

 結局、答えは落ち着くべきところに落ち着いたのですが、こういう同業の友人と意見を交わすことは、お互いに自分の見落としに気付けるという点でとても大切だと感じました。しかも、しばらく連絡をとっていなかった友人なので、久しぶりの親交を楽しめた次第です。 

 最近は相続や遺言、登記に関する法改正が相次ぎ、勉強をなまけると時代に取り残される節があります。お客さんからの問い合わせにもきちんと答えられるよう、もがいてスキルをあげていきます。

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 佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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