広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
1. 相続人が行方不明で相続登記ができない場合の対処法
・はじめに
相続人の一人が行方不明の場合、遺産分割協議ができず相続登記が進まないことがあります。
このような場合は、不在者財産管理人や相続人申告登記などの制度を利用することで対応できる可能性があります。
本記事では、その概要と注意点を、私自身の業務経験を交えてご説明します。
・私の経験談
以前、相続人の一人が行方不明となっているため、相続登記を進められないというご相談を受けました。
お話を伺うと、法定相続人Aさん、Bさん及びCさんが遺産共有する不動産についてAさん単独名義にしたいが、Cさんが行方不明のためCさんを含めた遺産分割協議ができないというものでした。
この場合、家庭裁判所にCさんの不在者財産管理人の選任を申し立て、誰か(司法書士や弁護士など)に不在者財産管理人になってもらったうえでAさん、Bさん、Cさんの不在者財産管理人の三者で遺産分割協議をするというのがよくあるやり方です(Cさんの行方不明の期間によっては、失踪宣告申立という手段もあります。)。
そこで不在者財産管理人の制度について説明させていただいたのですが、手続費用の負担がネックになり、不在者財産管人制度を利用するかどうか判断を保留なさいました。
他に良い方法を提案できなかったか振り返っても、他に現実的な解決方法をご提案することができませんでした。
2. 相続登記の義務化
令和6年4月から、相続登記の申請は義務化されています。
相続登記の申請義務があるのに正当な理由なく申請をしない場合、10万円以下の過料に処せられます。
冒頭のAさんBさんを例にすると、AさんBさんともに相続登記の申請が義務付けられるものの、義務の履行期間内に申請できなかったことについて「正当な理由」があれば過料は科されません(※1)。
「正当な理由」に当たるか判断に迷う場合には「相続人申告登記」という制度を利用する方法もあります。
3. 相続人申告登記
・相続人申告登記とは
相続人申告登記とは、正式な相続登記をする前に、相続人であることを法務局へ届け出る制度です。
分かりやすくいうと「私は法定相続人です」と法務局へ申し出る仕組みです。
相続人申告登記を行った申出人については、相続登記の申請義務を履行したものとみなされるため、その義務に違反したことを理由とする過料の対象にはなりません。
ただし、最終的には正式な相続登記が必要になる点には注意が必要です。
この制度によると、たとえば相続財産である土地についてAさんがこの申出をすれば、その土地の登記簿にAさんの住所・氏名が記録されます。
AさんはBさんと一緒に申出をしても良いですし、別々に申出をしても問題ありません。
Aさんだけが申出をして、Bさんは申出をしないということもあり得ます。ただし、申出をするのがAさんだけなら、相続登記等の義務を履行したとみなされるのはAさんだけです。Bさんと行方不明のCさんは相続登記等の義務を履行したとはみなされません。
冒頭の経験談では、Cさんが行方不明なので、AさんBさんが、被相続人名義の不動産の名義をAさん単独にするための遺産分割ができない、ということでした。
AさんBさんは、相続人申告登記の申出をすれば、相続登記等の義務を履行したとみなされます。
AさんBさんは相続登記の申請を怠ったことによる過料を科されません。
・注意点
注意すべき点は、相続人申告登記は相続等による権利移転を登記するものではないということです。相続人申告登記は権利移転を目的とした制度ではありません。そのため、申告をしても不動産の名義は被相続人のままです。
将来的に売却したり、特定の相続人名義へ変更したりするためには、遺産分割等をして新しい名義人を決め、それから相続登記を申請しなければいけません。
・私の経験談
新聞で相続登記の義務化を知り、義務違反による過料が科せられるか不安だから相続手続きについて教えてほしい、とうご相談をいただきました。
相続登記の義務化に関する一連の制度などを説明させていただいたうえで、相続人申告登記をしたいとおっしゃるのでその手続の代理をさせていただきました。
相続登記の場合よりは必要となる書類が少なく、登録免許税がかからない手続です。その点で当事者にとって利用しやすい手続だと思いました。
登記完了後は、「職権登記完了通知」と不動産登記の全部事項証明書(謄本)を取得して登記完了を確認しました。
相続人申告登記という制度ができたことで、相続登記義務化への対応に不安を抱える方でも、その不安感を解消しやすくなったと感じます。
4. まとめ
相続人が行方不明の場合でも、すぐに相続登記を諦める必要はありません。
・不在者財産管理人の選任
・失踪宣告
・相続人申告登記
など、状況に応じて利用できる制度があります。
どの方法が適切かは事案によって異なりますが、相続人が行方不明だからといって、必ずしも何もできないわけではありません。お困りの方はお気軽にご相談ください。
※1 「正当な理由」の例
①数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、必要書類の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
②遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
③登記の申請義務がある者自身に重病等の事情があるケース
④登記申請義務を負う者がDV被害者等であり、その生命・身体に危害が及ぶ状態にあって避難を余儀なくされているケースなど
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(公開日:2022年6月14日/最終更新日:2026年7月18日)
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