売買や贈与で所有権移転の登記を進める場合、必要書類の一つに「権利証(または登記識別情報)」というものがあります。
これは依頼者が紛失してしまっていることがあり、さあ困ったものだ、手続きをどうしようと考えこんでしまう方もおられます(「権利証がない場合」)。
しかし、権利証が見当たらなくとも登記手続は可能ではあります。ただ、その代わりに司法書士が本人確認情報という書類を作るか、事前通知という方法をとるかいずれかの対応をするのが通常です。
私の場合、登記が急ぎの案件ではないなら、事前通知の方法を選ぶよう依頼者に勧めます。
なぜなら、司法書士が本人確認情報を作るとなると、作成報酬として数万円の費用が発生するからです。
事前通知というのは、登記を申請してから数日後におこなわれる、「こういう登記申請があなたの名義でされていますけど、間違いありませんか?」と確認を取る趣旨の管轄法務局からの通知です。本人限定受取郵便で送られてきます。
通知を受け取った申請者は、登記申請を自らしたか、司法書士に委任したことに間違いないなら、送られてきた回答書に署名と実印を押して管轄法務局に返送します。返送期間は、法務局が事前通知を発送してから原則として2週間とされています。「通知を受け取ってから2週間」ではないことに気を付けたいところです。
さて、返送が必要というくらいだから、事前通知と一緒に返送用封筒が入ってるのかな?
結論。返送用封筒は法務局から送られてきません!
なんか不親切だなと思いますが、送られてきた回答書は、実は「返送」ではなく「法務局へ持参」しても良いとされています。
「郵便で返送せずに法務局に持参してくるかもしれない申請者に返送用封筒を送るのは無駄」という考えがあるのかもしれません。これは私の憶測です。
ただ、事前通知への回答は、郵便で済ますほうが楽です。
しかし、事前通知が入った封筒の中に返送用封筒が同封されていないので不便です。
先般ある方からのご相談で、事前通知で手続きを進めたいと依頼者がおられたため、「事前通知の回答を返送してください」というご説明と、返送用封筒を私に用意してもらえないかと相談されたのでレターパックもお渡ししました。
レターパックと書きましたが、普通郵便でも問題ありません。
あえて私がレターパックを渡したのは、レターパックの追跡番号を私の手元に控えておくと、ちゃんと事前通知の回答をしてくれたかネット上の追跡サービスで確認できて安心だと思ったからです。
しかし、なかなか自分が思うように事は運びません。
登記の申請をしたものの、郵便追跡サービスで追跡番号をネットで入力しても、いつまで経っても「該当の郵便はありません」という表示がされます。
ひょっとして、追跡番号を貼ったシールをレターパックから剥がさずにポストに入れたかな?たしかにこの前、「ポストに入れました」って電話があったしなあ。
うーん、きっとシールを剝がしていないにちがいない。シールを貼ったままだと追跡されないみたいだし。
もやもやしながら、法務局から登記の「手続終了」の連絡が入ってくるのを待っています。
ちなみに、事前通知の回答をしないまま回答期間を経過すると、登記申請の取下げを求められます。その求めに応じないと登記申請は却下されて、結局登記やり直しの憂き目に遭うので注意しましょう。
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佐藤正和司法書士・行政書士事務所
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