「読書の秋」とは言い得て妙で、夜は涼しく静かなので読書がはかどります。
私は、趣味とまでは言えませんが、法律書以外の本も好んで読みます。
今読んでいる本は、「名画で読み解く ハプスブルク家 12の物語」(中野京子著、光文社新書)です。
新聞の広告欄で宣伝されていたのを覚えていて、書店の棚に並んでいるのを偶然見つけて購入しました。
著者が書いた本を以前読んだことがあり、その本がきっかけで絵に興味を持つようになったというのもあります。
「ハプスブルク家」は、世界史を学んだことがある人なら聞いたことがあるはずのワードです。
私も聞いたことがあるのですが、ハプスブルク家がヨーロッパでどんな役割を果たしてきたかと問われると、言葉に詰まります。ハプスブルク家に注目してヨーロッパ史を勉強したことがなかったからだと思います。
この本では、有名な絵画(主にハプスブルク家の人々の人物画)を題材にして、同家が輩出した重要人物を紹介しています。
中でも興味深かった人物は、カール5世です。
ハプスブルク家にはオーストリア系とスペイン系の2つがありましたが、もとをたどると1つです。
しかし、なぜ2つになったのかという理由を私はさっぱり知りませんでした。
どうやら、1556年にカール5世が神聖ローマ帝国皇帝とスペイン国王の座を退く際に、あえて2つに分けたようです。
退位に際し、カール5世としては、ハプスブルク家が支配するすべての領土を息子のフェリペ2世に継承させることもできたはずです。
しかし、カール5世はそのようにはしませんでした。
オーストリア、ハンガリー、ボヘミアを領有する神聖ローマ皇帝の位を弟のフェルディナント1世に、スペイン王の位を息子のフェリペ2世に継承させたのです。
2つに分けて、ハプスブルク家出身の別々の者にそれぞれ統治させるほうが同家の安泰は守られると考えたのでしょう。
1人に広大な全領土を任せると、全体に目が行き届かずに反乱の芽を見逃すかもしれません。
ただ、フェリペ2世の立場からすると、「オーストリアも継承させろ」と言いたかったかもしれません。
しかし、オーストリアが統治できなくても、スペインがあれば、中南米の植民地政策でたくさんの富が得られるよと息子を諭して納得させたのかもしれません(※私の勝手な想像です。)。
もしそうなら、妙案だと思います。
「ハプスブルク家 12の物語」の中には、カール5世の凛々しい騎馬像の絵が掲載されています。
各地での戦争に明け暮れた激しい側面と、国とハプスブルク家の将来を見据える冷静な側面の両方の雰囲気が感じ取れる名画だと思います。
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