広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
合名会社の解散・清算結了手続に携わる機会に恵まれましたので、合名会社の解散・清算結了についてそのときの経験を中心に紹介します。
1.株式会社との違い・清算方法
会社を解散すると、原則として会社を清算する手続に移行します(※1)。
株式会社では、解散後、清算人が就任し、債権者保護手続などを行いながら会社の財産を整理して清算します。
これに対して、合名会社では、2つの清算方法(法定清算と任意清算)が会社法上定められています。
・法定清算
法定清算では、清算人が会社の財産を整理し、債権者への弁済などを行ったうえで残余財産を社員に分配します。合名会社の法定清算では、債権者に対して債権の申出をするよう求める公告と、知れている債権者に対する個別の催告は不要です(※3)。
・任意清算
任意清算では、定款または総社員の同意によって会社財産の処分方法を定め、その方法にしたがって清算を行います(※4)。債権者に対する異議申述の手続が必要です(※5)。
総社員の同意による解散など、一定の解散事由では任意清算が認められており(※2)、法定清算と任意清算の両方が利用できる場合があります。
今回、私が手続を担当した合名会社は、総社員の同意によって解散する事案でしたので、どちらの清算方法を選択するかが一つの検討事項となりました。
2.どちらの清算方法が適切か
どちらの清算方法によるか会社に決めてもらううえで、次の点に留意しました。
まず、合名会社の法定清算では債権者保護手続が予定されていません。なるべく早く解散手続を済ませたいという要望が会社からありましたので、債権者保護手続に時間を割く必要がない法定清算は、その会社にはメリットだろうと考えました。
ただ、合名会社が法定清算をする場合、清算後に残った財産(残余財産)は、定款に定めがないときは、各社員の出資の価額に応じて分配すると会社法に定められています(※6)。
このたびの会社の定款を確認しても残余財産の分配についての定めはなかったため、法定清算を選択するなら残余財産を各社員の出資の価額に応じて分配するよう会社担当者に説明しました。
そのうえで法定清算で手続を進めることになり、解散登記と清算結了登記を完了させることができました。
3.合名会社の解散・清算手続を経験して
合名会社は、株式会社と比較すると設立される数が少ないこともあり、実務上、合名会社に関する手続はそれほど多くありません。
そのため、今回の手続でも、合名会社に特有の制度を確認しながら進めることになりました。
法定清算と任意清算のように複数の選択肢が考えられる場面では、単に登記手続を案内するだけでなく、会社にとってどちらの方法が適切なのかを検討して説明することも重要だと感じました。
他にも検討すべき点がいくつかある案件でした。今回の経験を今後の業務にも生かし、普段あまり取り扱う機会のない手続であっても、一つ一つの課題を確認しながら、丁寧に手続を進めていきたいと思います。
次の条文番号はいずれも会社法です。
※1 644条
※2 668条
※3 660条は合同会社に関する規定です。
※4 668条
※5 670条
※6 666条