広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。
ある施設職員の方から、入所者の後見開始申立書の作成のご相談を承りました。
入所者ご本人ともお会いし、集めていただいた必要書類を調査したところ申立人が入所者ご本人になっていることに気づきました。
民法には次の規定があります。
(後見開始の審判)
第7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族(途中省略)により、後見開始の審判をすることができる。
条文上「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」自ら後見開始の申立てができるとなっています。
だからといって実際に本人が申立てをすることは適切なのでしょうか。
施設職員の方にお話しを伺うと、ご本人は簡単なことについては理解できるものの後見制度については理解できていないとのことでした。
「後見についてよく分からないままの本人申立ての後見開始書類の作成」をして良いというのではかなり違和感を抱いてしまいます。
私自身ご本人と面談して後見制度をかみくだいて説明しても、やはりご本人は沈黙を続けるばかりで申立ての意味など理解できていないように見受けられました。
法律は申立人の能力を要求していませんが、申立て後の家庭裁判所と申立人との間のやり取りで支障があるようなら審理できず、場合によって申立てが却下される可能性があります。
仮に認知症の方であれば、通常その症状に波があり比較的正常な判断能力がある時とそうでない時があります。
正常な判断能力がある時に後見開始申立てについて理解してもらい後見開始申立書類作成を依頼してもらえればその依頼は有効と考えられます(ただし安易に有効とすることは禁物と考えます。)。
一方、判断能力がない状態がずっと続くのであれば、本人が理解できるタイミングが無いということなので、本人申立ての後見開始申立書類を作成するべきではないと私は考えます。
この場合だれを申立人とするかが課題となります。
配偶者か4親等内の親族がおり手続きに協力的であれば、その方に申立人となってもらえば良いでしょう。
しかし、相談を寄せられた方については配偶者はおらず4親等内の親族の存在も明らかではありませんでした。
ただ一定の場合には市町村長も申立てができます。
たとえば知的障がいを抱えておられる方の後見開始申立人については次の規定があります。
知的障害者福祉法
(審判の請求)
第28条 市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第7条(途中省略)に規定する審判の請求をすることができる。
精神障がいを抱えておられる方については別の法律で同旨の規定があります。
そこで市長申立てで手続きを市に相談してはどうかと施設の方にはお伝えしましたが、市はどう対応してくれるでしょうか。
今後の流れを見守っています。
※以下のブログ記事は2022(令和4)年4月16日に掲載したものです。
本稿と同じ「後見開始申立て」に関する内容ですので同日付けの記事を削除のうえ改めて掲載します。
【4親等内の親族による後見開始申立て】
成年後見人を選任する場合、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見開始の審判の申立てをします。
この申立てをすることができるのは本人・配偶者・4親等内の親族などに限られています(参考:民法第7条)。
たとえば、おじ・おば、おい・めい、いとこは「四親等内の親族」に当たるので申立てをすることができます。
そして本人の配偶者や子どもなどの推定相続人が後見人を選任することに同意しているのであれば、申立書とともにその同意書も家庭裁判所に提出することとされています。
しかし推定相続人の反対などにより同意書が用意できない場合、それを提出する必要はありません。
同意書は絶対必要というわけではないのです(ただし申立て後の家庭裁判所の審判まで時間がかかることがあります。)。
それゆえ本人の子どもは反対しているけれども おい・めい が申立てをする、ということもあり得ます。
ただし、後見人が選任されてから無用なトラブルに遭遇しないように、申立ての準備段階で、後見人を選任する必要性、後見人に支払う費用などを推定相続人にきちんと説明しておくことが大切だと私(佐藤)は考えます。
ブログ記事は業務の参考として作成しております。内容に関し一切の責任を負いかねますのでご自身の責任でご利用ください。
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