【著作権】著作権の登録のお手伝いをしました

2021年09月28日 08時00分 業務

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広島県福山市の相続登記・成年後見は佐藤正和司法書士・行政書士事務所へ!
司法書士・行政書士の佐藤正和です。

1. 著作権登録
弊所には「著作権の登録をしてほしい」というご相談が寄せられます。
行政書士の仕事として著作権に関する登録手続きを代理させていただいております。

著作権登録を検討される方の中には「登録をしないと著作権は発生しない」と考える方もおられますが、誤解です。
著作権は、著作物が創られた時点で自動的に発生します。これを「無方式主義」といいます。

2. 登録制度は何のため?
(1) 文化庁の資料を調べると

それでは、なぜ登録という制度が設けられているのでしょうか。
制度の趣旨について、文化庁編著の著作権法入門2023-2024』には、次のように記されています。

著作権に関する事実関係の公示や、著作権が移転した場合の取引の安全の確保等のため

具体例を挙げて解説します。

(2) 保護期間を伸ばしたい場合などに利用
著作権の保護期間は、原則として著作者の死後70年を経過するまでの間とされています。実名で著作物を公表した場合はこのケースにあたるので、著作権は死後70年間保護されます。
もっとも、無名・変名(ペンネーム等)で著作物を公表した場合、その著作権は、著作物の公表後70年を経過するまでの間、存続するとされています。

わかりやすくするために、以下の時系列で整理してみましょう。

上の例の場合、原則として著作権の保護期間は2090年12月31日までです(※1)。その翌日からは著作権は保護されません。
もっとも、無名又は変名で公表された著作物でも、「実名の登録」という手続きをすれば、実名で公表された著作物と同じように、保護期間は著作者の死後70年間(上の例で言うと2120年12月31日)となります。
保護期間が延びるという効果が得られるわけです。

3. 実名の登録を実際にやってみた
(1) 著作物の明細書とは?
「実名の登録」手続きにあたり「著作物の明細書」という書面を文化庁に提出します。
そしてその記入項目に著作物の内容又は体様」があり、そこには著作物の内容を200字から400字に要約して記載します。

(2) 作成にあたり私がおこなうこと
著作物についてある程度理解しなければ著作物の明細書を書くことができません。
そのため、言語の著作物(論文や小説など)では、それをお借りして内容の概略を把握するようにしています。
あらかじめ要約文を用意してくださる方もおり、その場合は要約文も参照させていただきます。要約文を用意していただけることは大変助かります。

4. 第一発行(公表)年月日の登録もやってみた
(1) どういう意味がある手続き?
自分の著作物が他人から「自分の作品を真似されている」と言われた場合、言われた者としては、「自分のほうが先に作成して公表もしているから真似していない」と反論したいものです。
しかし、作成や公表をした日を実際に証明するために証拠を集めるのは大変です。
そこで、その著作物が最初に発行(又は公表)された年月日の登録を受けることができるとされています(第一発行年月日等の登録)。
これにより、登録された第一発行(公表)年月日で発行(公表)されたと推定されるので、訴訟の場面では上記の立証責任から解放されます。

(2) 頒布(はんぷ)証明書について
第一発行(公表)年月日の登録手続きでは、第一発行(公表)年月日がいつかを証明する資料を文化庁に提出する必要があります。
何をもって「発行」「公表」というかが問題ですが、これは著作物を50部以上頒布したことや、著作物を50人以上が見聞したなら「発行」「公表」といえるとされています。ここでのポイントは「50」という数字です。

・言語の著作物の場合
私が依頼を受けたのは「言語の著作物」でした。守秘義務の関係で私が受任した「言語の著作物」の具体的内容を紹介することは控えますが、先にも紹介したように論文、小説、脚本、レポートなどがこれに該当します。
「言語の著作物」の場合、当該著作物を50部以上頒布したことを証明する資料を用意する必要があります。

・具体的に必要な資料は?
では、具体的にどのような資料を用意すれば良いでしょうか。
一つは著作物を受け取った方に受領書をもらうという方法がありますが、50人以上の受領書を用意するのは手間がかかります。
他の方法としては、第三者に、50部以上が頒布された旨の証明書(頒布証明書)にサインしてもらうというやり方があります。

・第三者とは?
文化庁に問い合わせると、「第三者」は利害関係を有しない者、という回答を得ました。
頒布証明書にサインしてくれる予定の方が利害関係を有するか判断に悩む場合、文化庁にその点の確認も必要と私は考えます。

5. まとめ
(1) 手厚い著作権保護のために
前述のとおり、著作権に関する登録手続きをしなくても著作権は発生します。
しかし、著作権をめぐり争いが生じる場合に備えて保護を手厚くしておきたいとお考えの方もおられると思います。

(2)登録による信頼性の向上も
他にも、著作権に関する登録をすることで著作物に登録番号が付され、文化庁の「著作権等登録状況検索システム」に掲載されます。
これによって「きちんとした著作物だ」という印象を持ってもらうために著作権登録のご相談に来られる方もおられます。
ただ、登録制度の本来の目的を理解することが大切です。

弊所では著作権についてのご相談にも対応いたしますのでお気軽にお問い合わせください。

※1 著作権法第57条

【2024.7.26追記】
著作権の手続きについて不動産の登記申請と比べて申請の手順・方法等の点で面白いと思うことがあったので紹介します。

1. 書類の提出前相談はメールでやりとりOK
法務局で不動産登記を申請する場合、書類を窓口に提出するかオンラインで申請するかのいずれかの方法によります。

(1)書類に不備がある場合の対応
法務局に登記申請した後、法務局に提出した書類に不備があると、ここを直すようにという補正の指示が担当の司法書士にされて司法書士はその指示に従って書類を直します。

一方、著作権に関する登録手続きをおこなう文化庁では、申請前に申請予定の事件の申請書や添付書類を担当課にメールに添付して送信することになっています(メールが送信できない場合FAX可。)。

話題が少し脱線しますが、先に挙げた「著作物の明細書」の中で「著作物の内容又は体様」を文章で書くようになっているため、本の内容を要約した文章を書き込んで申請前に文化庁担当者の方にメールで送りました。

私はその文章を段落分けして作成していたところ「段落分けはしないように」という訂正を指示してもらいました。このように指摘してもらわないと気付かないこともあります。

(2)照会方法
登記のことに関して分からないことがあれば登記申請前に法務局に質問票(照会票)を書面で提出またはFAXして法務局からの回答を待ちます。メールを使うことはありません。

一方、著作権の手続きの場合、著作物の対象が文芸に関することであれば公益社団法人日本文藝家協会というように、各団体に手続きについて問い合わせることができます(※1)。

2. 登記・登録を証する書面
(1)登記
法務局で登記が完了した場合、不動産の謄本(登記事項証明書)を取得し確認することで登記ができたことを確認できます。不動産登記であれば「登記完了証」という書面を見ることでも登記完了を確認できます。

(2)著作権
次の3つの確認方法があります。

①文化庁で著作権についての登録が完了した場合「登録の完了について(通知)」という書面が文化庁から郵送されてきます。

②文化庁の「著作権等登録状況検索システム」で登録状況をインターネット上で無料で確認できます。

③他にも著作権登録原簿の登録事項記載書類の交付を文化庁長官に請求し、その書類を確認するという方法もあります(ただし有料。)(※2)。


※1 文化庁は著作権に関する申請書類の作成のための窓口訪問は受け付けていません。ご自身で申請書類を作成することが難しい場合、行政書士や弁護士などの専門家に依頼することとなります。

※2 参照規定
著作権法
(登録手続等)
第78条
4 何人も、文化庁長官に対し、著作権登録原簿の謄本若しくは抄本若しくはその附属書類の写しの交付、著作権登録原簿若しくはその附属書類の閲覧又は著作権登録原簿のうち磁気ディスクをもって調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。


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