成年後見人をつけたい場合、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見開始の審判の申立てをします。
この申立てをすることができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などに限られています(後見開始について民法第7条)。
たとえば、おじ・おば、おい・めい、いとこは、「四親等内の親族」に当たるので、申立てをすることができます。
そして、本人の配偶者や子どもなどの推定相続人が後見人をつけることに同意しているのであれば、申立書とともにその同意書も家庭裁判所に提出することとされています。
しかし、推定相続人が後見人をつけることに反対しているなどの事情により同意書がない場合、それを提出する必要はありません。同意書は絶対必要というわけではないのです。
それゆえ、本人に子どもがいて、おい・めい もいる場合、子どもは反対しているけれども おい・めい が申立てをする、ということもあり得ます。
こういう場合、どんなことに注意が必要だと思いますか?
これは最近私が考え込んだケースです。
私が思うに、後見について本人の子どもから理解を得ておくことがとても大切です。
親が死亡した場合、その子どもは原則として親の財産の相続権を有します。
したがって、本人が生きている間、親の財産の内容や多寡などに関心がある子どもも、この広い世の中にはいるはずです。
後見人が選任されて、一定期間後見業務を遂行すると、家庭裁判所に報酬付与の申立てをして、それが報酬付与の審判がされるとまとまった金額のお金が、被後見人である親の財産から支払われます。
たとえば、一月あたり2万円の報酬と家庭裁判所で決められると、一年間後見業務をすると24万円の報酬です。
子どもが後見に反対していたのに後見人が選任されて、さらには一年あたり24万円のお金が親のふところから出ていくとなると、不満を抱く子どもも出てくるのではないでしょうか?
「後見人をつけないまま本人が亡くなると、その24万円は自分が相続できたはずなのに。」という具合に不満を抱く人です。
もちろん、親の財産はあくまでも親のものですから、子どもがとやかく口出しする法律上の根拠は乏しいです。
しかし、法律上の問題とは別に事実上または感情的なこととして、「なんでこんなに後見人にお金が渡るんだ、だから後見人を付けるのに俺は反対だったんだ!」と文句を言う人も出てくるでしょう。
報酬に見合った後見事務をしていることには間違いありませんので、そういう不満はナンセンスです。
とはいえ、世の中いろいろな人間がいるので理屈が通じない人もいます。
後見人が選任されてから無用なトラブルに遭遇しないように、申立ての準備段階(推定相続人から同意を得るとき)に、本人に後見人をつける必要性や、後見人をつけた場合の費用のこと、そのほかメリット・デメリットの説明をきちんとしておくことが大切です。本人の配偶者と子ども以外の方が申立てをする場合は、特にそのように私は考えます。
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